A29:ピエゾアクチュエータの基本特性について当社技術資料から一部を抜粋し、2回に分けご説明させていただきます。
【発生力】
ピエゾアクチュエーターの発生変位が最大の時(最大電圧印加時)に、
変位をゼロ位置まで戻す力を最大発生力といいます。
言い換えると
「最大発生力はピエゾアクチュエーター両端を完全拘束して最大電圧印加した時に発生する力」
となります。
つまり最大発生力が発生している時に発生変位はありません。
図は「ピエゾアクチュエーター(最大変位量 20µm、スティフネス 40N/µm)の
発生力―発生変位特性を印加電圧別にあらわしています。
破線は外部拘束物(ばね)の剛性を表していて、その交点は外部拘束物がある状態での発生力・発生変位をあらわします。
より高剛性の外部拘束物(傾斜の少ない破線)がある時には発生変位は減少し、発生力は大きくなります。
【外力と変位】
死荷重が与えられたとき初期位置は変化しますが、その位置からピエゾアクチュエーターは最大変位量まで動作します。
ばね性の外力が存在するとピエゾアクチュエーターが変位することで反力が変化するために
ピエゾの変位量は図のように減少します。
ばね定数とピエゾのスティフネスのバランスでこの変位ロス量は変化します。
【共振周波数】
ピエゾアクチュエーターの共振周波数(f₀) は spring/mass 振動理論でモデル化するとは下式で求まります。
ピエゾアクチュエーターにワークを載せる場合には、増加質量を計算式に加算しおよその共振周波数を推測できます。
f₀ピエゾアクチュエーターは共振周波数では使用できません。
共振周波数またはそれに近い周波数では、ピエゾアクチュエーターの変位振幅は非共振時よりも極端に大きくなります。
不測の変位量振幅によってピエゾアクチュエーターはダメージを受ける可能性があります。
安全に使用できる周波数の目安は共振周波数の約 30%以下です。
【応答速度】
ピエゾアクチュエータの最大応答速度は、その共振周波数(使用条件における)により決まります。
共振周波数 最大応答速度
Tmin≈1/3f₀
Tmin-最大応答速度
f₀-共振周波数
優れた応答性は振動制御、衝撃力生成、高速スキャン動作、高速バルブ制御などに利用されています。
高速応答させる際には、流れる電流量も大きくなるのでピエゾドライバも充分な電流容量を持った選択が必要です。
詳しくは技術資料「ピエゾドライバの選択」をご参照ください。
【ピエゾアクチュエータの自己発熱】
ピエゾアクチュエータの自己発熱は振動周波数・変位振幅量の増加とともに増えます。
停止時・低速動作時にはほとんどありません。
使用温度範囲を超えないようご使用ください。
テストデータを元にアドバイスできますのでお気軽にご相談ください。
【 Q30:ピエゾアクチュエータの基本特性_その2】に関連があるQ&A
Q26:ピエゾアクチュエーターとは◆
Q28:ピエゾアクチュエータの種類◆
Q29:ピエゾアクチュエータの基本特性_その1◆
技術資料
トータル技術資料◆
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